English

江田五月参議院議長を講師とした第1回FEC外交等国政問題懇談会(略称:国政懇)を開催

国際問題懇談会

2009年11月17日更新

参議院議長公邸において江田五月参議院議長の講演と議長を囲んでの昼食懇談会を開催し大好評であった。

第一回FEC外交等国政問題懇談会開催風景(議長公邸の2階)

第一回FEC外交等国政問題懇談会開催風景(議長公邸の2階)

講演する江田五月参議院議長

講演する江田五月参議院議長

国政懇を終えての江田五月参議院議長(下段中央)とご出席者との記念写真

国政懇を終えての江田五月参議院議長(下段中央)とご出席者との記念写真

とき

平成21年(2009)11月17日(火) 11時30分〜13時15分

ところ

参議院議長公邸

概要

参議院議長公邸において江田五月参議院議長の講活と議長を囲んでの昼食懇談会を開催した。

内容

 民間外交推進協会(FEC)は、去る9月29日開会の本協会常務理事会において議決された「外政等国政問題懇談会(呼称・国政懇)」の設置を受けて、11月17日にその第1回国政懇を江田五月参議院議長の協力を得て、同議長公邸において昼食会を兼ねて開催した。江田議長は戦後初めての民主党の議長で2007年8月7日より第27代参議院議長を務めている。

 公邸では、まず2階の会談場で江田議長の講演、その後1階の昼食会場に移り昼食会と質疑応答が行われた。FECからは荒木浩東京電力(株)顧問、笹森清元連合会長、佐藤晃一(株)ホテルオークラ元会長、野村吉三郎全日本空輸(株)最高顧問・元会長、福澤文士郎東亞合成(株)取締役相談役・前会長、松澤建学校法人青山学院理事長、清原武彦産経新聞社会長、田中宏(株)クレハ会長等役員ら25名が出席した。

 開会に際して埴岡和正FEC理事長が、「本日この場をご提供いただいたのは笹森FEC評議員会副議長と江田参議院議長のご高配によるもので、第一回の国政顧問を参議院議長公邸=良識の府の主の館にて開催でき、第一回に相応しい。この一ヶ月あまり、民主党の閣僚、党要人等をお招きしておりますが、皆様まじめな方ばかりである。本日は率直に民意をお伝えする場にさせていただきたい。」と開会挨拶、続いて笹森清FEC評議員会副議長が、「新しく先日の理事会で外交等国政問題懇談会を設置し、国政に民意を伝える場として政府、与党要人をお招きして懇談会を開催することとしており、本日がその第一回目で江田議長をお迎え出来たことはうれしい」と座長挨拶を行い。その後、埴岡FEC理事長が江田参議院議長をご紹介し、江田議長より「最近の政治情勢とロシア、ラトビア、イギリスの訪問を終えて」と題して約30分講演した。

 江田議長は、「参議院議長公邸は、江戸時代の出雲の殿様の屋敷跡で、明治になり女子華族学校、戦後1961年に参議院議長公邸ができたと沿革を説明。私まではずっと第一党の自民党が議長であったが、私が参院選の結果初めて民主党で議長に就任した。民主主義はある幅のある道を左右にふれながら正しい道を進んでいくもので、一人の指導者の下にまっすぐに進んで行くことは間違えの元である。外交は政府が専権で行っていることになっているが、国と国、国民と国民とが広い関係を持ち、信頼関係を作って行くのが重要と思っている。その意味では、議員外交も民間外交の一つであると思う。最近駐日各国大使が面会にこられ、各国の議連はほとんど自民党議員なので、民主党の議連を作ってほしいとの依頼があるが、駐日各国大使にはお断りしている。まずは駐日各国大使自身の努力で関係のある議員を探すように薦めている。現在議員どうしの交流を再構築する時に有り、議員外交も重要である。今年になって私の元に外国要人がこられたのは51件にのぼる。参議院議長公邸では、扇議長のころから駐日各国大使を公邸にお招きしているが、私の代になって世界各国を3つに分けて、昨年はアフリカ、今年は欧州、来年はアジア等3年で全ての駐日大使をレセプションに招くこととしている。

 今年のロシア訪問はミロノフ議長の来日に際して、正式に招待をいただいたことを受けて、ロシア、ラトビアとイギリスを訪問してきた。ロシアではミロノフ議長、ラブロフ外相ら政府要人との会談で、領土問題を解決して平和条約を結ぶのは必ず必要と伝えてきた。領土問題は解決済であるということではなく、話し合いをしていこうという雰囲気を作ってこれたと思う。次のラトビアは、大変苦しい歴史をたどって来ていて、ソ連に占領され、ナチスドイツの占領を受け、またソ連に占領され、ベルリンの壁が崩壊するまで占領された歴史がある。同国には天皇皇后両陛下もご訪問されていてとても親日的。ただ、経済は大変厳しい状況であった。イギリスは、センチメンタルジャーニーではないが、オックスフォード留学経験が有ったので懐かしく訪問し、オックスフォードで英語で1時間講演をしてきた。イギリスでは上院が大改革を行っている。イギリスは憲法を現実的に変えていくのですよとロード・ヘイマンが言っていたが、そこがイギリスの奥深さであると強く感じた。

懇談・質疑応答

谷野作太郎元中国大使:
日本の党首選挙と総選挙について、政党で議論され、党首を選び、そして総選挙を行うのが一番良いと考えるがどうすればいいのか? また、8月15日の靖国神社は暴力団が大腕を振って活動しているが、今の憲法では暴力団の個人を対象としての法律となっており、組織を対象としていないが改正出来ないのか?

江田議長:イギリスの政権交代と日本の政権交代とでは大きく違い、イギリスでは非常にすがすがしく何か新しいものを始めるという感じがした。日本は戦後初めて政権が変わったわけだが、政権交代によって世の中が良くなる、または悪くなるという極端な反応である。党首選挙の後総選挙をすることについては、慣行の問題なので、今後はそのようにすれば良いと思う。暴力団のことは、日本の刑法は個人を対象に作られている。組織全体を見て犯罪として裁けない。外国はそうでもないところもあるが、組織そのものを対象として特例として作った法律がオウム真理教の時で、今後は一般法にして犯罪性の高い組織は裁けるようにしなくてはならない。

清原産経新聞会長:選挙前の与野党の対立は仕方ないが、日本の外交や日本の沽券に関わることで対立してほしくはない。私は第80回選挙制度審議会の委員に当たったが、小選挙区制に変える案を作ったうちの一人であります。2大政党制を確立し、政権交代可能な政治を実現する。今まさにそれ自体が起きたわけですが、衆議院、参議院両方の選挙制度が似通っている、人によっては参議院不要論がありますが、議長の目から見てどのようにお感じになりますか。

江田議長:両院若干の違いはありますが、両院同時選挙になれば有権者は戸惑うことでしょう。細かく見れば違いはあるが大まかにみると、両院同じ選挙制度があるのはおかしい。一院でいいという議論が出るのは当然だと思います。参議院の選挙制度をどうするかということは参議院をどうするかということと連動しているので、私は憲法上の議論をしなくてはいけないのではないかと思います。そのための憲法審査会は衆参両院に出来ているが、いずれも現在機能していない。来年の参議院選挙で民主党が過半数を取れば、どこかの誰かのように憲法審査会は動かさないなんてことはクリアーされていくのでは思っています。

本間ジーアンドエイチ代表取締役:人の病気は厚生労働省、家畜の病気は農林水産省ですが、最近は双方にまたがる病気が増えているので、利害に関係なく安全な社会を守っていくための情報発信をしていただきたい。われわれの安全を守っている法律の順法意識を一般市民に意識してもらえるよう政治主導型で進めてほしい。

江田議長:新型インフルエンザは厚生労働省、農林水産省という省庁を超えたよい素材だと思う。社会に出てくる困ったことは、それを乗り越えて次のものを作っていくよい経験になっているので、政府に知恵を貸していただきたい。順法意識に関しては、法律で書かれているということを超えて、人間社会においてお互いに支えあい助け合いながらお互いを尊重して成り立たせていくための社会的な素養を持った市民が出来ていくための教育、その他の面でも考えていかなければいけないと思っています。

松澤建青山学院理事長:質問というよりも教育の重要さについてぜひ申し上げておきたい。国家百年の大計はすべて教育です。

埴岡和正理事長:今日この場を通じて江田議長の人間としての幅の広さを感じ、柔らかい思考力をお持ちの方であると思いました。こういう方なら良識の府である参議院の主として立派に議会運営に当たられるのだと改めて感じました。次回はぜひ私どもがこのような席を設けて議長をお招きし、もっと議論を重ねたいと思っております。最後に笹森清元連合会長は総括を兼ねた閉会挨拶で、「核心に触れる話もありましたが、消化不良の面も残っていますので、ぜひもう一度機会を設けたい。民主党政権が発足してプロの目から見た民主党政権の見方と一般国民の目から見たのとではギャップがある。今後いろいろなことを整理していただき、民主党の人気が落ちないようにして国会の場でご活躍いただきたい。ありがとうございました。」と述べた。

江田議長:笹森さんのおっしゃる通りで、21世紀臨調の提言ですが、今あそこには参議院のことは頭にない。ある程度落ち着いたら参議院は衆議院中心の政治の動きに対して、参議院はオブジェクションというようなところが出てこないといけないのではないかと思っていますが、これはこれからの課題だと思っています。

< 一覧へ戻る