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イングリッシュ・ニュージーランド副首相・財務大臣を招き第127回FEC国際問題懇談会・朝食会を開催

ニュージーランド 国際問題懇談会

2009年09月02日更新

内藤明人FEC副会長・リンナイ(株)取締役会長が歓迎あいさつ

NZ副首相・財務大臣を招いての第127回FEC国際問題懇談会にて主催者あいさつの内藤明人FEC副会長

NZ副首相・財務大臣を招いての第127回FEC国際問題懇談会にて主催者あいさつの内藤明人FEC副会長

記念品を交換する内藤明人FEC副会長とビル・イングリッシュNZ副首相・財務大臣(左)

記念品を交換する内藤明人FEC副会長とビル・イングリッシュNZ副首相・財務大臣(左)

とき

平成21年(2009)9月2日(水)  午前8時〜9時半

ところ

帝国ホテル東京「桃の間」

概要

イングリッシュ・ニュージーランド副首相・財務大臣を招き第127回FEC国際問題懇談会・朝食会を開催

内容

民間外交推進協会(FEC)は9月2日、初来日のニュージーランド(NZ)のビル・イングリッシュ副首相兼財務相を来賓に招き、朝食懇談会・第127回FEC国際問題懇談会を帝国ホテル東京で開催した。NZでは昨年11月の総選挙の結果、9年ぶりに国民党政権が誕生し、今般キー新政権のイングリッシュ副首相兼財務相の初来日の機会に、同相を招きFEC役員等との経済懇談会を開催した。

開会に際して埴岡和正FEC理事長は、「今はまさに日本の政治の歴史的転換時。良い機会に来日された。日本国民の多くは政権交代を歓迎しているが冷静だ。本席は金融経済問題を中心に率直な意見交換をお願いしたい」と挨拶。内藤明人FEC副会長・リンナイ(株)取締役会長より、「77年にリンナイNZを設立、90年よりNZの在名古屋名誉領事を務めている。名誉ある勲章もいただき今後も交流促進に尽力したい。キー新政権の要職ご就任をお祝い申し上げる。副首相は閣僚経験豊富な政治の練達の士。世界の金融経済情勢について、FEC役員の識者、実務家との談論風発の場とし、日本とNZ関係の一層の強化を願う」と主催者挨拶があり、続いてケネディ駐日NZ大使が、「副首相は若いが経験深い政治家。元党首で財務相は2度目。金融関係者を訪問予定」と副首相を紹介。イングリッシュ副首相・財務相の挨拶に続き、懇談会において朝食をともにしてFEC側出席者と活発な意見交換が行われた。

あいさつ要旨

内藤明人FEC会長の長年にわたるNZへの貢献に感謝しており、わが国政府の叙勲もその功績を称えるもの。今回は日本の金融機関に対しNZ向け与信の継続を要請するため来日した。世界同時不況に対し、豪州と同様の景気対策・金融緩和策を発動させた。輸出の維持、特にアジア向け果物輸出に注力しており、ケネディ駐日大使から大きな日本市場の重要性も助言されている。日本の新政権発足後の内政、金融経済情勢の行方に関心がある。

懇談・意見交換

埴岡和正FEC理事長:キー政権ではイングリッシュ副首相の訓令が徹底され、行政経費の無駄遣いが排除されている。現に在日NZ大使館の今日の実情を見ると十分に理解できる。民主党の財務相候補、藤井裕久議員も昨日の本協会の会合の席で来賓としてのあいさつでは行政の無駄遣いの大幅な削減を強調された。

重原久美春国際経済政策研究会会長・元OECD副事務総長兼チーフエコノミスト:日本の課題は少子高齢社会における生活水準の向上だ。新興国の台頭から日本企業の競争力が低下し、輸出は大きく減少した。サービス業等の生産性向上に構造改革が必要。実質生産の上昇が消費を増やす。所得格差対策は民主党政権の主要課題であるが、子供手当て等の所得補助は政府支出の増加が不可避となる。財政赤字の袋小路から抜け出せるのか。失業率は5.7%へ上昇。来年の参議院選を控えて景気刺激策が続けられよう。金融システム不安も残る。中国は日本経済の助けになるだろうか。社会福祉と効率の両立が課題だ。

イングリッシュ副首相・財務相:日本の制度は系統的に構築され、国民の結束も強い。NZは社会全体の生活水準を重視し国民は満足している。有能な国民の25%が国外居住している(豪州は4%)。日本在留は35百人。NZも日本と同様に、購買力向上が課題で、成長政策への転換が受け入れられた。資産価格上昇維持と弱者手当てのバランスをとり国民の信認をえた。日本の新政権の行方の不確実性が為替市場に反映されている。円高に対し当局はどう対応すべきか。中国が今後中期的に成長を持続させた場合、日本への影響は。

重原久美春国際経済政策研究会会長:為替は国際市場で決まる。日本だけで短期的に調整はできない。ドイツはEU統合で黒字体質から脱した。中国の成長は日本への恩恵大きいが、反面軍事的脅威も増す。中国の課題は平和的成長の維持と所得不均衡の是正。

イングリッシュ副首相・財務相:新政権の経済政策などがよく分からないが、どう変わるのか。

埴岡和正FEC理事長:長年の自民党の公共事業中心の内需振興策で景気は良くならなかった。民主党は家計への直接支援による内需振興を強調し、子ども手当て、医療・年金、雇用対策を重点施策としている。民主党は、財源は天下りや独立行政法人等の無駄遣いの廃止で手当てされると自信を示している。キー政権を支える副首相の内助の功は非常に大きい。このことに敬意を表する。ところで50年ぶりの日本の政権交代の主役は小沢一郎民主党代表代行だ。

田丸 周油研工業(株)常勤監査役・元日本興業銀行調査部長:中国の経済成長はインフラ部門の国営企業中心で、所得格差も拡大している。銀行システムと社会保障制度が未整備で、消費の振興も限界的だ。リーマン・ショック後、他国に比べ日本と中国の対ドル為替安が顕著だった。円高転換は3ヶ月前からだ。

ケネディ駐日NZ大使:大変興味深い意見交換。FECの民間外交活動に心から感謝する。 NZ人の日本企業派遣やFECの来年のNZ経済調査団など、活発な経済交流、人的交流促進に期待している。キー首相の10月来日時のFEC役員らとの懇談会も重要だ。

(注) 席上で話題にあった藤井裕久衆議院議員との面会を副首相・財務相が強く希望し、FEC事務局においてその調整を行った結果、同日に両氏の会談が東京都内で実現した。同相からは大変に有意義な機会となったと駐日大使を通じてお礼の連絡があった。

(田丸 周FEC常任参与・油研工業(株)常勤監査役・記)

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