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第2回FEC日越経済問題等協議会(略称:日越経協)を開催=FEC日越文化経済委員会

ベトナム 日越文化経済委員会

2010年04月15日更新

日本とベトナム両国間のビジネス交流上の諸課題をはじめとする問題点の意見交換を行う

講演を行うヴォー・ホン・フック・ベトナム計画投資大臣

講演を行うヴォー・ホン・フック・ベトナム計画投資大臣

第2回FEC日越経済問題等協議会の開催風景

第2回FEC日越経済問題等協議会の開催風景

質疑応答時の壇上の様子(左が日本側、右がベトナム側)

質疑応答時の壇上の様子(左が日本側、右がベトナム側)

ベトナム側に質問をする参加者

ベトナム側に質問をする参加者

とき

平成22年(2010)4月15日(木)16時〜18時30分

ところ

帝国ホテル東京「光の間」

概要

平成22年4月15日(木)にヴォー・ホン・フック・ベトナム計画投資大臣を来賓として招き第2回日越経済問題等協議会を開催

内容

FEC日越文化経済委員会は4月15日、在日ベトナム大使館との共催による第2回日越経済問題等協議会(略称:日越経協)を帝国ホテル東京で開催した。今回は来日中のヴォー・ホン・フック計画投資大臣を来賓として招き「ベトナム経済の現状と今後2年間の展望」と題して講演を行い、小休憩を挟みフック計画投資大臣、ビン駐日大使及びホアン投資庁長官との質疑応答を行う2部制で開催し、出席者とベトナム側代表との間で率直な意見交換が活発に行われた。フック計画投資大臣は全ての質問に対して懇切丁寧に答えた。日越経協は、両国のビジネス交流上の様々な障害、課題について相互理解を深めるための場で、今回は来日中のベトナム計画投資庁代表団をはじめ在日ベトナム大使館関係者、FEC役員・会員の他に各界各層の150名超が出席した。

松澤建FEC日越文化経済委員長の主催者挨拶

 

FEC副会長で本年4月1日より日越文化経済委員会委員長に就任いたしました松澤です。主催者を代表しご挨拶申し上げます。

本日は、ヴォー・ホン・フック・ベトナム社会主義共和国計画投資大臣閣下を来賓として迎え在日ベトナム大使館と共催の第2回日越経済問題等協議会を開催出来ますことは、大変光栄です。

日本とベトナムとの民間交流を促進する上で、まだまだよくわからないことが多く、ただ話しを聞くだけでは相互理解が進まない現状を踏まえ、FECと在日ベトナム大使館とが協力して定期協議会としての日越経協を去る2月2日に立ち上げ、両国間の投資をめぐる課題の解決や、貿易促進に向けての率直な意見交換を行うことに致しました。その2回目となる本席を、その道の最高責任者のフック計画投資大臣の出席を得て開催できますことは、大きな意味を持ち、誠に有意義な機会であると感激しております。

フック計画投資大臣は、1992年の日本のODAの再開以来のベトナム側の責任者で、また2002年から計画投資大臣を務められて、日本からの民間投資に対してもまさに最高の権威者であります。

本日は、フック大臣より「ベトナム経済の現状と今後2年間の展望」と題してご講演をいただき、ご出席の皆様との率直な意見交換をいただけることを大変楽しみにしております。

最後に、本日の協議会には日本を代表する企業の代表者等150名を超す方々にご出席をいただき、誠に有難うございます。本日の協議会がご出席の皆様方にとって有意義な結果となることを期待し、主催者としての挨拶とさせていただきます。

グエン・フー・ビン駐日大使の挨拶

ご来席の皆様、FECは日本とベトナム関係強化に大いに貢献している。特にFECと大使館は2カ月毎に日越経協を開催することを取り決めたが、今回非常に喜ばしいことに、来日中のフック計画投資大臣を招き、第2回日越経協を開催することができた。本日の協議会が実りある意見交換の場になると確信している。この協議会の共催者の立場として、フック大臣を始めベトナム計画投資団体を歓迎申し上げる。

第一部―ヴォー・ホン・フックベトナム経済投資大臣の講演

2008年と2009年の始め頃はベトナムにとって、大変厳しい時期だった。政府は経済の成長と安定、そして人々の生活の安定を図る必要があった。その目標を達成するために、事業を拡大し、消費の拡大を目指した。金利優遇措置や、輸出品の免税、減税等を行い納税期間を延期する政策を出した。金融政策以外にも、投資を促進している。FTAとODAが早く実現されるよう取り組みたい。政府の投資も増加し、インフラ整備や病院・学校の建設等社会福祉の分野にも着手している。結果、投資総額はGDPの42.2%になった。金額で言うと大体400億ドルになり、ベトナムにとっては大きな数字である。

財政・金融や投資政策、貿易促進政策を実現した甲斐があり、2009年は地域生活の安定実現、GDP成長率5.32%の経済成長、消費者物価指数6.5%という成果を得た。財政赤字も6.5%減った。貧困率は13%から11%以下になった。海外からの資本もベトナムに流れ、2009年の海外資本の成長率が40%になった。日本からのODA投資支援金額は16億ドルになり、2008年と比べ40%増だ。2009年はベトナムにとって成功の年になった。2010年は経済成長率6.5%という目標を立てた。貧困削減政策などもやっている。2010年の1-3月期のGDP成長率は前年比5.83%増。特に工業とサービス部門の成長が著しい。マクロ経済の安定も維持され、投資資金も増え続けている。特に外国からの投資は、この2010年1-3月期は13%増えた。不安材料としては消費者物価指数が以前よりやや高くなったことだ。投資総額はGDPの41%、実施金額は110億ドルになる。

ベトナム政府は「五ヵ年計画」と「十ヵ年戦略」からなる国家戦略を発表したが皆さんの意見を伺いたい。この戦略を実現するためにベトナム経済が直面していることは経済再構築だ。

再構築とは先進国の場合は、主に財政、金融部分の再構築だと思うが、我々にとっては、経済のあらゆる分野において考える必要があると思う。経済体制、具体的な政策を見直す必要がある。ベトナム経済には3つの弱点がある。経済市場体制未確立、人材不足、インフラも未整備だ。「五カ年計画」、「十ヵ年戦略」の中ではベトナム政府は3つの突破口を設けている。その市場経済システムの完備、人材育成、インフラシステム、特に大都市のインフラシステムの整備だ。これを実現するために、特にインフラ整備のためには多くの資金を集めなければならない。インフラ整備に対する投資資金は今まで主に政府に頼っていた。しかし、ベトナム政府は今後インフラ整備に投資する資金を集める際に、政府と民間の資金を連携していくPPP方式を展開していくつもりだ。これをうまく運用するために、この方式を管理している仕組みを聞かせていただきたい。

日本はベトナムにとって、最大パートナーであり、今後PPPという方式の展開により、日本の民間企業も投資案件に参加されることを期待している。

第二部―質疑応答

 

【本間克巳本間獣医科医院院長からのご質問】

本間院長:ベトナムで外国の会社が動物病院を開業するは初めてのケースだということで、病院の投資許可が1ヶ月程遅れている状況。どういう事情で遅れているか。

ホアン長官:ベトナムの法律に、動物病院を建設する制限はない。ただし、直接関係のある医療庁や農業省での手続きに時間が掛かっていることが考えられる。

[佐藤安信東京大学大学院総合文化研究科教授からのご質問】

佐藤教授:法整備をする上で、その法律がどれだけ当面性を持ち、実際に執行できて信頼できるものなのか、といった検証やリスク対策がちゃんと出来ているのか。EPAの発効にあたり問題解決の窓口を用意するといったが実現可能か。人材育成の点で、将来的にベトナムの若い弁護士を日本の国際法律事務所に研修に送ることは可能か。また政府の資金援助協力も可能か。

フック大臣:もし、争いが起きたら日本の関係省庁と経済計画投資省との間に窓口を作り、まず和解を目指し、それができなければ裁判にする形を取ると良いのではないか。日本への人材派遣については、訓練費が高いことが問題だ。

【山口範雄味の素(株)代表取締役会長からのお願い】

山口代表取締役会長:原材料が量的、価格的に安定して調達できるよう長期的な視点で施策を打ってもらいたい。食品の安全性に対しては、極めて本質的、基本的な問題であるため、世界的に安全が証明されている事を互いに共有し、消費者にも浸透させるという努力を互いにしたい。

フック大臣:食品の安全については、政府から徹底するよう指示がある。原材料は、できる限りお手伝いしたいが、現地の農民と長期的な契約を結ぶことが良策だと思う。

【平田敬(株)日産テクノ執行役員からのご質問】

平田執行役員:世界中の市場で使われている車両、エンジンをベトナムの子会社に回収し、それを分解調査するために輸入する必要がある。中古のエンジンや車両の輸入が法律で禁止されていることも聞いているが、これを通関して欲しい。また、関税を免税と免税措置をお願いしたい。

フック大臣:現在、中古車の輸入は法律によって禁止されている。輸入する理由の内容によっては可能となる場合もあるかもしれない。中古車の輸入を免税にすることはない。

【遠藤堂太(株)エヌ・エヌ・エータイランド副編集長からのご質問】

遠藤副編集長:ベトナム政府は、2020年に新幹線の部分開通を目指しているが、どの区間を優先着工する予定なのか。また裾野産業に関して、ベトナムは2020年の工業国入りを目指していると聞いており、ASEAN域内からの完成車の有税率が2018年には0%になるため、少しでも裾野産業の誘致、そして育成をしなければならないがあまり進んでいないと感じる。

フック大臣:新幹線計画は、現在動いているところである。297kmあるハノイからビンまでと、400km程あるホーチミンからナチャまで、と分けることによって2020年の部分開通が実現できると確信している。工業国入りは各国レベルが様々で、最初の工業国段階という形での工業国入りを目指している。

【宇高昇(財)海外職業訓練協会国際アドバイザーからのお願い】

宇高国際アドバイザー:今在日ベトナム大使館のウェブサイトの言語がベトナム語と英語になっている。ベトナム語は日本人にとって非常に難しい言語である上、英語も中小企業にとって弱い言語であることが現状である。色々な情報を得るためにも、日本語サイト作成にご尽力いただきたい。

フック大臣:ウェブサイトは検討するが、日本語がよくできている人材がいるかどうかが問題となっている。

【八名和夫学校法人法政大学理工学部教授からのご質問】

八名教授:高等教育展開の方向性とはどういうものか、またホーチミン市郊外にできる学園都市に海外の大学を誘致する計画があるか。留学生について人材育成の意味で海外の理工系の大学に留学生を送り出す方針があるか。

フック大臣:海外大学の建設は特に理工系の大学が歓迎されている。現在、オーストラリア、フランス、イギリスの大学が展開されている。留学生に関しては、投資家の要望に応えるよう、また将来の互いの発展のため、特に理工系の大学に送り出したい。日本留学については、費用が高いこともあり学生数には限りがあるが、今後日本の政府、援助を使って日本に留学することも検討している。

【井田昌之青山学院大学国際マネジメント研究科教授からのご質問】

井田教授:ベトナムからの留学生を受け入れているのが基本的な考え方だが、ベトナム側に日本からの留学生を受け入れるのにふさわしい大学、日本と等しいレベルの教育をしてくれる大学を作りたいと思うが、海外大学を新規に作り卒業生を出すにはベトナム側には教育レベルの基準はない。また、ベトナムの私立大学等の卒業生を日本企業で雇う時に、教育の水準について日本側はどのように評価をすれば良いか。教育訓練から高いレベルの大学院まで、様々なレベルを検討するうえで、ベトナム側でどのような水準、基準、どういったレベルのカリキュラムがあるのかなど基本的なガイドラインがあると非常に検討しやすくなると思う。

フック大臣:ベトナムにおける大学の基準は、現在教育訓練省が行っている。海外からの教育を促進するために、まず海外大学に教育基準を提示してもらい我々がそれに基づいて検討しているケースもある。あるいは、他の海外、外国大学はベトナムにあることを限定して、その中で海外の方にもコースを開き、卒業生に卒業証書を出しているケースもある。フランスやイギリスで行っており、日本でもそういった基準で大学を作ることに関しては歓迎している。

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