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アリー・ラリジャニ・イラン国会議長をお招きして第6回中東フォーラムを開催=FEC日・中東文化経済委員会

イラン 日中東文化経済委員会

2010年02月25日更新

アリー・ラリジャニ・イラン国会議長が対米関係、日本とイランの経済協力の展望等についてご講演

講演するアリー・ラリジャニ・イラン国会議長

講演するアリー・ラリジャニ・イラン国会議長

第6回FEC中東フォーラムの開催風景

第6回FEC中東フォーラムの開催風景

とき

平成22年(2010)2月25日(木)16時〜17時半

ところ

東京曾館「ローズルーム」

概要

平成22年2月25日イランのアリー・ラリジャニ国会議長をお招きして、第6回中東フォーラムを開催。

内容

民間外交推進協会(FEC)日・中東文化経済委員会(委員長小長啓一AOCホールディングス(株)参与)は2月25日、アリー・ラリジャニ・イラン国会議長を招き、第6回中東フォーラム(イラン・セミナー)を東京會舘で開催した。今般の催しは、昨年80周年を迎えた両国国交の新たな発展を展望したもので、FEC法人会員各社代表のほか、アラグチ駐日イラン・イスラム共和国大使をはじめ多くの国の在京大使、政界、経済界、報道各社から約300人が出席した。
開会に際して小長啓一FEC日・中東文化経済委員長・AOCホールディングス(株)参与は、「イラン国会議長の来日はイラン革命以後初めて。各界の識者が一堂に会する公開の場での初講演は極めて有意義な催し。ラリジャニ国会議長に対し、心からの歓迎と謝意を表する」と挨拶。続いてアラグチ大使が、「今年は国交80周年。昨年は外相の相互訪問等の政治交流が行われた。国会議長の訪日で始まった今年は良いスタートを切れた。FEC及び非常に重要な役割を果たされている金川FEC会長に心から感謝申し上げる」と挨拶し、ラリジャニ・イラン国会議長より金川千尋FEC会長へ、二国関係の発展・推進への貢献を称えた感謝状が贈呈された。金川会長は、「FEC会長として感謝状をいただき光栄。アラグチ大使や歴代大使との率直な意見交換の場を数多く開催し両国関係の発展に努めた。皆様とともに民間外交の推進と世界平和の実現に取り組む所存。ラリジャニ国会議長のご高配とアラグチ大使のご尽力に感謝申し上げる」と答礼挨拶を行った。ラリジャニ・イラン国会議長は、対米関係、日本とイランの経済協力の展望等について率直な所感を述べ、講演後参加者と一問一答の質疑応答が行われた。

講演要旨

イランは欧州、地中海世界と中国、日本とを繋ぐ位置にある。イブラヘムの一神教と道教、仏教またヒンズー教等の架け橋の役割を果たした。欧州、ギリシア文明を中国や日本へ伝えた。イランと日本の歴史は古く、日本は神道の国、イランには固有のゾロアスター教があった。両国とも成熟民主主義国家で、強い議会と国会をもつ。イランは1979年のイラン・イスラム革命により国王の独裁政権を倒し、宗教的民主主義体制を確立。国家機関は国民の選挙で選ばれる。

イランは革命前、米国の覇権主義の犠牲となり、革命後は圧力と制裁を課された。米国は分離主義を扇動し、水面下で支援したテロで多くのイラン要人が犠牲となった。米国はイラク・サダム政権のイラン攻撃を扇動し、長い戦争を虐げた。我々は他国へ侵攻したことはない。わが国の根本理論は圧制と戦い、苦しむ人々を救うこと。イラン、日本の共通理念として、原子力エネルギーをもつが、核兵器の製造や開発は行わない。またアフガンのテロ撲滅、麻薬撲滅で同じ戦略を有する。日本は先端技術の先進国。鳩山首相の東アジア共同体概念に共鳴する。問題もある。過去10年日本は、常に西側寄りで、アジア、特に中東の様々なリスクを避ける政策を採った。

イランの原油、ガス埋蔵量は世界第2位。我々はパレスチナやレバノンのヘズボラを支持・支援する。イラク、アフガニスタンも支援する。我々は覇権主義でなく、諸国民間の信頼と尊敬を希求する。今イラクの大量破壊兵器からイラクを攻撃した、と信じる人はいない。アフガン侵攻もそうだ。アフガン産麻薬の多くは、空路他国へ密輸される。その中の1つの空港は、米国とNATO軍の管轄下にある。現在米国はイラク、アフガニスタン、レバノン、パレスチナ・ガザ地区の戦争に敗北し、威力を失った。

日本とイランは国際社会において相互補完的。経済関係では、強いパートナーシップを築いている。昨年の両国貿易額は110億ドル超で多くが原油輸出。今後イランの原油、天然ガス、石油化学、原子力等において、経済関係を強化すべきだ。コーカサス地方、中央アジア、アフガニスタン、イラクなどの周辺諸国を含めた経済市場は約350億ドル超。日本のイラン向け輸出は10億ドルを超えた。イランで進行中の本格的な民営化は日本にも大きな機会。日本のイラン投資について、食糧や有機栽培分野、幹線道路や鉄道敷設、環境、環境保護分野が有望。日本企業のイラン進出はまだ少ない。イランは西アジアの中心国、日本は東アジアの重要な国として、政治、経済、文化等の協力強化が可能だ。

講演後の質問

 

1.中東情勢の行方とイランとしての期待は何か。

2.「イランのウラン濃縮・加工を日本で行う」という日本政府の提案に対するイラン側の反応はどうか。

3.オバマ大統領の「核廃絶宣言」(プラハ演説)についての評価。

ラリジャニ・イラン国会議長の返答

イランの基本戦略は全ての中東イスラム諸国と親密で良い環境を築くこと。中東の平和と安定は大変重要。現在は覇権主義、占領、テロが深刻。特にパレスチナ問題は大変重要。オバマ政権の政策は以前と変わっていない。パレスチナ問題解決の道は、パレスチナ人に自らの国の運命を決めてもらうことだ。

日本のウラン濃縮提案は、テヘランの実験用原子炉についてであり、約85万人の患者がこの原子炉で製造される医薬品に頼っている。不足している原発燃料の海外購入を検討しているが、この問題を複雑化させる動きもある。ウラン濃縮と原子炉燃料問題を混ぜるべきではない。日本の先導的・主導的な役割を歓迎したい。

是非オバマ大統領には、発言通りに核廃絶政策を出して欲しい。核兵器がない世界に賛成だ。日本の核・原子力エネルギーの平和利用は大変好ましい。

(田丸周FEC常任参与・油研工業(株)常勤監査役・記)

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