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白石隆政策研究大学副学長を招いて3月7日に第29回アセアン問題研究会

日アセアン文化経済委員会

2006年03月07日更新

概要

白石隆政策研究大学副学長を招いて第29回アセアン問題研究会。

内容

 FEC日アセアン文化経済委員会(委員長・稲森俊介味の素(株)特別顧問)は、3月7日昼、東京・日比谷松本楼に白石隆政策研究大学院大学教授・同大学副学長を迎えて第29回アセアン問題研究会を開催。冒頭に2月13日〜20日にFECが実施した第9次アセアン経済事情等調査団長を務めた稲森委員長が主催者あいさつを兼ねて訪れたフィリピン、中国の感想を述べ、続いて副団長であった田中宏(株)クレハ社長と三好孝彦(株)日本製紙グループ本社会長からそれぞれ所感が述べられました。

白石講師は、「アセアンの政治、東南アジアの政治」をテーマに簡潔、分かりやすく説明した。出席のFEC役員、会員の企業代表者にはアセアン問題の第一任者の話に終始うなずくばかりであった。

[講演趣旨]

 アセアンの政治の役割は、地域協力のルール作りであり、「主権尊重・友好協力」が原則だ。数百の条約が締結される EU の「深い統合」に対して、アセアンは機能領海毎の「浅い統合」により東アジア地域協力を外延的に拡大している。冷戦の終焉により、日本、韓国、台湾、華人の企業ネットワークが域内貿易を拡大、事実上の市場統合が進展した。対中投資の活発化から中国の経済脅威が浮上し、領海紛争や軍事上の脅威も台頭した。対アセアン外国直接投資を奨励し、南シナ海での中国の一方的行動にはアセアンの行動規範を受入れさせ、02年に「戦略的パートナーシップ」が合意された。

 アジア経済危機後、東南アジア各国の政治体制は民主主義が支配的となった。政治課題は、過去の開発主義下で高度成長を追求する「成長の政治」を、民主主義下で如何に再建するかだ。70年代は日本の繊維産業の進出が摩擦となったが、現在日本の企業進出は受容されている。子女教育では、英語・中国語を話すトリリンガルが増加し、社会自体が中国へ向いて動くなど、「国益」も変化してきた。

 日本の課題は、アセアンをハブとした東アジアの地域協力ルールをチュごくにも受入れさせ、民間主導で地域内格差縮小に協力し、「成長の政治」深津へ貢献することであろう。


 講演後、約1時間出席者が白石講師に次々と質問を行なった。その答えも明瞭で出席者からは目からうろこが落ちた思いだとの感想を語り出席して良かったと述べた。



第29回アセアン問題研究会には、FEC日中委員長代行の谷野作太郎前駐中国大使、日アセアン委員長代行の湯下博之元比大使とFEC法人会員の企業役員らが出席した。


(注)詳しくは、月刊FECニュース4月号に掲載しておりますので、ご参照ください。

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