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馮寄台台北駐日経済文化代表処代表を招いて第115回FEC国際問題懇談会を開催

台湾 国際問題懇談会

2009年03月18日更新

「日台関係の現状と今後の展望」をテーマに流暢な日本語で講演

とき

平成21年(2009)3月18日(水) 12時〜14時

ところ

ホテルオークラ東京

概要

馮寄台台北駐日経済文化代表処代表を招いて第115回FEC国際問題懇談会を開催

内容

テーマ

日台関係の現状と今後の展望

内 容

FEC・民間外交推進協会(埴岡和正理事長)は3月18日、台北駐日経済文化代表処の馮寄台代表を招き、「日台関係の現状と今後の展望」をテーマに第115回国際問題懇談会をホテルオークラ東京で開催した。台湾では昨年5月の総統選挙を経て民進党から国民党へ政権が移り、馬英九総統は就任以来、中国との経済交流を緊密に推進しており、中台関係に変化が見られる。懇談会にはFEC役員、法人会員が多数出席した。
開会に際して埴岡理事長より、「馮寄台代表は昨年着任された。FECは台北駐日経済文化代表処と定期的に経済問題等懇談会を開催しているが、本日は新代表の抱負を率直に伺い、日台関係の強化につなげたい」と挨拶。続いて、馮寄台代表より新政権の中台関係、日台交流の現状と今後の計画等が述べられ、講話の後出席者と一問一答の昼食懇談会が和やかに行われた。

講演要旨

幼少期5年間外交官の父と一緒に日本に居住したが、50年間日本から離れていた。自分の外交官キャリアは米州中心でドミニカ大使を最後に引退した。古くからの友人の馬総統に懇請され駐日代表として着任した。馬総統は野党民進党や一部の日本人から親中とみられているが親日家だ。「今年は台湾と日本の特別なパートナーシップ関係を促進する」と、日本を重視している。台湾の世論調査で台湾人は日本が最も好きな国で、年間250万人が往来している。8年間の民進党の反中政権下でも台中関係は伸びた。台中貿易は1千億ドルへ10倍増、台湾から中国への訪問者数は昨年5百万人に達し、対中投資の累積は2千億ドルだ。馬政権の三通政策(通信、通商、通航)の直接開放により、台中直行便が3倍(週108便)に増加した。大陸への投資は保障されない。三越が台湾企業と合弁で北京最大の百貨店を出店した際、中国企業に買収されそうになったが、台湾政府は阻止できず、台湾マスコミが中国政府を動かし阻止された。
両岸関係が中国の最大の心配事だ。台湾人に「自分は何人と思うか」と聞くと、過去8年間で「中国人」の答えが激減し、「台湾人」の答えが増加、両岸の距離が拡がっている。馬総統は「非統一、非独立、非武力」を提唱し、中国との対話は経済問題に限定し政治協議はしないと明言した。中国が今後「ASEANプラス3」の枠組みで関税を撤廃すると、台湾の打撃は大きい。経済的孤立を避けるため、中国との自由貿易協定(FTA)の締結を急ぎたい。
日本に着任以来多くの人と会い、日本人の親台性を実感している。日台関係では観光が最も重要。静岡の日台観光サミットに60名が参加した。台北松山・羽田の直行便開設(来年10月)、ワーキング・ホリデイ制度の合意や故宮博物院の文物展開催を計画中。中台は同じ言葉で異なる価値観。日台は同じ価値観で言葉が違う。日中は両方違う関係だ。外交上は米国を最重要視するが台湾人には日本が最も重要な国だ。

懇談・質疑応答

谷野作太郎元駐中国大使:前政権下で日本は中台の二者択一を迫られたが、現政権に変り官民とも日台関係が改善し喜ばしい。中台間の「包括的経済協力協定(CECA)」で日台関係を考えるべきで、中台の前進と共に日台も発展する。中国の台湾政策も柔軟で、胡錦濤総書記の昨年末の「胡6点」談話は重要で注目すべし。日本統治時代の恋愛映画「海角七号」の日本上映が楽しみだ。故宮の文物展を遷都1300周年の奈良で同時開催してはどうか。
馮寄台代表:中台政治問題は地雷原に入っており、馬総統にはあせらず頑張っていただきたい。映画の日本上映を準備中だ。
生田正治商船三井相談役:日本は観光庁を設置し観光立国をめざしている。訪日外国人は年間835万人と仏の1/10。国別上位は韓国、台湾、中国の順。海外旅行者は年間17百万人。夫々1千万人、2千万人の目標に向けてインフラを整備する計画だ。アジアの軍事バランス上中台は統一して欲しくない。中国は将来経済力と共に軍事力も増大し、東シナ海は中国の内海となる懸念がある。20年後の姿を台湾人はどう描くのか。
馮寄台代表:台湾は23カ国と外交関係があるが、前政権時代は中国、台湾ともに小国に対し資金援助で国交樹立が行なわれた(中国は9カ国、台湾は3カ国)。但し、北京に「台湾と断交し中国と国交樹立」を要請し断られた国もあり、大きな変化だ。
国嶋矩彦NECソフト代表取締役社長:台湾、中国の拠点に駐在し一体的経営を指向したが、人の往来に制約あり不便だった。中台接近による人的交流の促進を期待する。
新町敏行日本航空常任顧問:日本ワーキング・ホリデイ協会長として御礼する。台湾便は70年代にアジア航空だったが今はJALで感無量。今後も日台関係の促進に尽力したい。
渡邊五郎森ビル特別顧問:馬総統の台湾人魂に感銘した。台中経済交流が進んだ後の台湾の将来像を馬総統はどう描いているのか。アジアとの経済協定では、「ASEANプラス4」を提唱してはどうか。
馮寄台代表:馬総統は「中国と政治対話はしない」と言うだけで、台湾の将来像はわからない。台湾人の3割以上が対中政策に反対しており、野党も「統一の政策だ」と批判している。台湾の存在が中国の民主化を加速する可能性もある。日本との尖閣諸島問題には法律論で対応している。3年前馬総統は「ASEANプラス3プラス1」を主張したが中国の承諾が前提となる。
稲森俊介味の素特別顧問:FEC調査団で訪台した時、国民党議員の「中国進出台湾企業は後日吸収され土着化する懸念がある」との発言が印象的。国交のない中国への投資が保障されないのは問題だ。
馮寄台代表:台湾は5カ国とFTAを締結したが貿易量は少ない。中国と投資保障問題を含むFTAを協議しており、中国と締結すれば日韓とも結べる。領事機能を有する経済事務所を中国内に開設中。香港で台湾人は入国ビザを取得できる。北京も台湾に事務所開設を検討中だが反中デモが起きる。日本の代表処の代表者名は72年の開設当初のままで変更不能だ。車も外交ナンバーは使えない。
織田幾太郎JTBベネフィット社長:故宮文物展開催で日台親善が深まろう。日本は台湾配慮が足りない。返還後香港の魅力が低下した。台湾には香港のようになって欲しくない。
馮寄台代表:北京の要望から故宮文物展の北京開催が決定した。北京より早期の東京展の開催を要請した。
水沼正剛電源開発常務執行役員:中国電力分野への日台の合弁投資は歓迎されるか。
馮寄台代表:賢明な投資方法で中国も歓迎しよう。
田丸 周リケン常勤監査役:経済不況が深刻のようだが中国との金融交流の状況はどうか。
馮寄台代表:8年間の孤立は失敗だった。将来は不透明だが中国との緊密化が台湾の生存に必要。銀行の相互進出を検討中だ。
生田正治商船三井相談役:中国の軍事力が増大しており、経済交流は「人質」となる懸念がある。台湾の自主性を世界は願っており、国連等をうまく活用して欲しい。
馮寄台代表:米国からの武器購入は自己防衛の意思表示と米国への保険の意味があり、与野党とも意見は一致している。
米澤泰治米澤化学社長:中国は保有する7千億ドル強の米国債の売却で米国を揺さぶらないか。米中関係をどう見ているか。
馮寄台代表:米中は価値観が異なる、複雑で牽制しあう恐怖の関係だ。ドルが暴落すれば中国が最大の損失を被る。
埴岡和正FEC理事長:今後も懇談会を継続し、台湾海峡問題を話せる環境にもっていきたい。次回は代表の公邸での開催を希望する(この後、馮代表は、喜んで皆さんを公邸に招きたいと快諾)。
(田丸周FEC常任参与・(株)リケン常勤監査役・記)

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