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パブリクス・ラトビア外務大臣を招き「両国経済交流促進について」の意見交換=昼食懇談会

ラトビア 日欧文化経済委員会

2007年06月08日更新

FEC日欧文化経済委員会 第66回FEC日欧経済等フォーラム

(右が41歳で夫人同伴のアルティス・パブリクス ラトビア外務大臣、左がヴァイヴァルス駐日ラトビア大使)

(右が41歳で夫人同伴のアルティス・パブリクス ラトビア外務大臣、左がヴァイヴァルス駐日ラトビア大使)

とき

平成19年(2007)6月8日(金) 12時〜13時40分

ところ

ANAコンチネンタル東京1階「天空の間」

概要

パブリクス ラトビア外務大臣を招き第66回日欧経済等フォーラム。

内容

テーマ

「両国経済交流促進について」の意見交換・昼食懇談会

内 容

FEC日欧文化経済委員会(委員長・河野俊二東京海上日動火災保険(株)相談役)は6月8日、パブリクス・ラトビア外務大臣、ヴァイヴァルス駐日ラトビア大使を招き歓迎昼食会を兼ねて第66回日欧経済等フォーラムをANAインターコンチネンタルホテル東京で開催した。開会に際して、埴岡FEC副理事長より、「ラトビアと日本はロシアと国境問題を抱える共通点を持ち親近感が強い」と外相を紹介した後、河野委員長が「外相は2度目の来日。5月の天皇、皇后両陛下のご訪問で両国の相互理解も深まった。FEC調査団は今秋ラトビアを初訪問するが経済交流の発展を期待する」と歓迎の挨拶を行った。パブリクス外相は、「日本・ラトビア経済交流促進について」をテーマに、ロシア、EU共通政策、バルト三国内の位置、などについて広範に率直な見解を述べた。空手有段者で日本贔屓の外相一行との昼食会は日本酒の乾杯で始まり、FEC役員・会員と和やかに意見が交換された。

外相発言要旨

日本とラトビアはロシアを挟んで地続きだ。両国とも過去の苦難を乗り越え将来を展望している。ラトビアはソ連に50年間併合され91年に独立した。ロシアとの国境条約はロシアで未批准。日本の明治維新のように若者が自由に活躍しており、大統領は41歳の自分より3ヶ月若い。NATO、EUに加盟後EU内で最高の成長率を達成した。日本・ラトビアの経済交流は貿易、中継・通過取引分野で発展の可能性がある。初めての領事館を開設した沖縄のほか各地に名誉領事館開設予定。リガ空港はバルト三国の中心で、エア・バルティックは50都市と航路をもつバルトのハブ空港だ。昨晩の麻生外相との会談で、「バルト三国プラス日本」の定例外相会議の開催を合意した。

外交課題は、NATO・EUにおける安全保障、対米関係強化だ。ロシア関係改善のため、EUの価値観の伝達に務め、EUエネルギー政策にも尽力している(ラトビアからEUエネルギー相を派遣)が、米EUの共同政策が必要だ。またラトビアは今年2つの地域同盟(バルト三国同盟、バルト海諸国同盟)の議長国である。

懇談の一部

 

久米: EUのエネルギー政策では内部対立があるが、ロシアの出方はどうか。
(注) 久米邦貞FEC日欧文化経済委員長代行・元駐ドイツ大使
外相: EU加盟は安全保障、経済面で重要だが、新旧、東西、南北等様々な意見対立があり、自分は好まない。ロシアに対する共同政策はできていない。ロシアはEUの内部分裂を意図した「種まき」をしているが、「土壌が適切か、肥料が妥当か」に詳しくない。ラトビアは旧ソ連の小国の状況を理解しており、彼らを支援している。
都甲: プーチン政権は、内外(ロシア回帰/ヨーロッパ)どちらを向いているのか、お伺いしたい。
(注) 都甲岳洋FEC日露文化経済委員長代行・元駐ロシア大使
外相: 判らない。ソ連は崩壊後、グローバルな地位と世界の尊敬を失った。プーチンは状況を良く理解しており、「尊敬を取り戻す」と国民に訴えた。方法として「経済繁栄」「民主化」「強権」のうち、彼は強権の道を選んだ。幸運にも資源価格高騰が追い風となった。ロシアの経済は国家管理が強く、マスメディアは完全統制下にある。巨大すぎて管理不能ゆえ、敵を分裂させ主導権を握る戦略だ。エネルギー政策にも欧州は感情的に反応し罠に陥っている。ラトビアはロシアの経済発展、民主化を願い多く投資してきたが回収時期は不明だ。ロシアにも人間、文化等良い点もあり、投資しないのもよくない。
埴岡: FECロシア問題研究会でプーチン・ロシア大統領の人間像について勉強したが、「プーチン大統領も普通の人間」が結論だった。強いロシアを内外に見せる為の何をするか判らない不安はあろう。
久米: EUは巨大すぎる。ハンザ同盟のようなバルト海経済圏の意義は大きい。日本企業の知識は少ないのでこのことを貴国に強調していただきたい。
外相: ラトビアは中心に位置し地理的メリット大。首都リガはスエーデン支配下の数百年間最大の都市で栄えた。3つの不凍港の経済メリットも大きい。日本車コンテナ船がフィンランドで荷を下ろしチェコまで陸送しているが、より近いラトビアの港経由の方が経済的だ。ロシアとはバルト三国で最も友好的。鉄道でつながっている。法人税率は15%とフィンランド、スエーデン、フランスの半分だ。日本・ラトビア間の政治関係は良好だが経済交流が極めて足りない。地理的、港湾・輸送メリットを享受した日本の企業進出が望まれる。
大使: 日本企業とは、ラトビア国内外の協力が可能。インフラ、教育水準の高い人材、旧ソ連とのビジネス・コミュニケーションを活用したビジネス展開を期待する。
外相: ハンザ同盟の精神は死んでいない(夫人もドイツ・ハンブルグ出身)。ラトビアは小国で「仲介者」の地位で生き残った。本日の意見交換は有意義であった。9月のFEC経済事情等調査団のわが国訪問は両国の関係強化に寄与するもので大統領以下で政府として歓迎したい。
河野: 外相の本音が窺え貴重な機会であった。EUとは別の観点からも貴国の発展に微力ながら応援したい。
埴岡: キーワードは「ハンザ同盟と日本」。9月に貴国訪問の第14次FEC欧州経済事情等調査団と貴国首脳との意見交換に期待したい。

(注)スクーヤ・ラトビア外務次官、ルダカ同アジア太平洋州局審議官らが同席

(田丸 周FEC常任参与・(株)リケン常勤監査役・記)

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