バヤル首相の講演テーマ   モンゴル国の鉱山政策と国際協力 バヤル首相の講演テーマ   モンゴル国の鉱山政策と国際協力

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バヤル・モンゴル首相を招き第124回FEC国際問題懇談会・特別講演会を開催

モンゴル 国際問題懇談会

2009年07月17日更新

民間外交推進協会(FEC)と青山学院大学の主催、在日モンゴル大使館の後援で盛会裡に催した=活発な質問に首相も感動する

講演するバヤル・モンゴル首相

講演するバヤル・モンゴル首相

第124回FEC国際問題懇談会・特別講演会の会場風景

第124回FEC国際問題懇談会・特別講演会の会場風景

とき

平成21年(2009)7月17日(金) 15時〜16時15分

ところ

青山学院大学・青山キャンパス

内容

バヤル首相の講演テーマ

 

モンゴル国の鉱山政策と国際協力

概 要

 

民間外交推進協会(FEC)は7月17日、バヤル・モンゴル首相を招き、青山学院大学と共催による第124回FEC国際問題懇談会を青山学院大学の青山キャンパスで開催した。ロシアと中国に挟まれたモンゴルは、推進中の民主化・市場経済化の過程で第3の隣国、日本との関係強化を目指している。日本は90年以降モンゴルの最大援助供与国であり、二国間関係も幅広く発展している。FECもモンゴルとの交流を進めており、本年5月に、松澤建FEC副会長・青山学院理事長を団長とするFEC教育経済事情調査団がウランバートルを訪問した。短期間の訪問であったが各地で大歓迎を受け、エンフバヤル大統領、ゾリグト資源エネルギー相等政府要人との会談や、国立及び私立大学の訪問・意見交換を通じ、経済交流、教育交流面で大きな成果を挙げた。

今般、バヤル首相は日本政府の実務訪問賓客として来日し、麻生首相との会談後日本とウランの共同開発覚書が調印された。FEC国際問題懇談会には、青山学院関係者、在日モンゴル大使館関係者のほか、FECから三好孝彦FEC副会長・(株)日本製紙グループ本社特別顧問、都甲岳洋FEC日露文化経済委員長代理・元駐ロシア大使、小林哲也FEC理事・(株)帝国ホテル代表取締役社長、森敏光元駐カザフスタン大使ら、FEC役員・会員が多数出席した。開会に際してFEC副会長の松澤建青山学院理事長が、「バヤル首相は、政府要職、人民革命党幹部、ロシア大使等を歴任し多方面で活躍された。本日のご来院を歓迎し敬意を表したい。モンゴルと青山学院は、WTO(世界貿易機関)センター、在日大使館を中心に交流してきたが、昨年モンゴル国立大学から3名の留学生が本学院に留学、急速に交流が深まった。’国作りは人作り、人作りは国作り’の理念の下に、教育・学術交流により両国関係強化を推進したい」と主催者挨拶。バヤル首相は、「モンゴル国の鉱山政策と国際協力」をテーマに概要下記の講演を行い、講演後出席の大学生と質疑応答を行った。

バヤル首相講演要旨

 

多くのモンゴル留学生が日本で学んでおり感謝する。モンゴルのGDPは8年間で6倍に増加し、産業構造も農牧畜業の低下と鉱工業の増加が顕著。世銀の分類でモンゴルは今年から中国、タイ、インドと同じ中所得国へ格上げされた。世界的経済不況から銅価格は急落したが、政府は経済危機対策として、銅、金、石炭、鉄鉱石、ウラン、モリブデン等地下資源の開発と加工を推進中だ。鉱業生産はGDPの3割、輸出の8割を占める。オユトルゴイ(銅3千万トン・金1千トン)PJ、タバントルゴイ(石炭)PJの開発は優先的に進める。操業30年のエルデネット(銅)PJも設備更新が必要だ。石炭は60億トンの埋蔵量があり外国企業13社(日本3社)が関心を示している。

日本とのウランの共同開発で、日本の高度な人材、環境にやさしい技術、経営能力に期待している。日本とは相互補完関係にありウイン・ウインの協力関係の可能性がある。経済連携協定も話し合っており経済協力の拡大、貿易障害の軽減が期待される。両国の多面的な友好関係の発展は、青山学院の皆様の学問探求に寄与すると思う。

質疑応答

 

首相の講演後の質疑応答では次々に積極的な質問が出されて首相も驚き感動する場面があった。しかし時間の関係で質問は途中で打ち切られた。主なQ&Aのやりとりは次のとおり。

質問(学生):モンゴル国民は、自国の発展のために政治に何を期待しているか。

バヤル首相:地下資源に恵まれた国なのに何故貧しいのか?と問われる。鉱物資源開発は重要だが、生活の質は経済に加え、教育、医療、社会保障が重要。100年前の人口は40万人、識字率は30%。今日の水準もまだ低い。特に不十分な若者教育が最重要課題だ。

質問(学生):両国の協力発展に政府、民間は何をすべきか。

バヤル首相:政治的に未解決な問題はなく、90年代から日本は最大の援助国として多大な支援を頂いたが、経済交流は十分でない。将来援助がいらなくなるのが理想。今日日本とウランの共同開発覚書に調印したが、日本は原子力燃料を必要とし、モンゴルは安全・環境に優しい日本の技術で開発を進めたい。両国の補完関係は多い。大草原に魅せられる日本人や、日本への留学を希望するモンゴル学生など、戦略的パートナーとなるべく多くの分野の交流を進めることが重要だ。

質問(モンゴル留学生):世界的資源不足の中で、モンゴルは地下資源をどう活用するのか。

バヤル首相:まず地下資源の探査活動を推進する。ウランの確認埋蔵量は6万トンだが160万トンの推定もある。5年間毎年1つの大規模開発を進める。ウランは濃縮加工し輸出する計画だ。

質問(学生):モンゴルの国民性で誇りに思う点は何か。

バヤル首相:歴史の豊かさだ。かつて、「中国のモンゴルか?ロシアのモンゴルか?」と聞かれ、「両方とも事実だが、以前は両国ともモンゴルの衛星国だ」と返答した。チンギス・カンを誇りに思っている。チンギス・カンは国際法上の外交特権を世界に広め、税制も作った。彼の編成した「十人隊」は、「経営の最適サイズ」とビルゲイツが引用している。

(田丸 周FEC常任参与・油研工業(株)常勤監査役・記)

=松澤建FEC副会長が首相と親しく懇談=

特別講演会の開会を前に首相を出迎えたFEC副会長の松澤建学校法人青山学院理事長は、バヤル首相と懇談。5月にFECモンゴル教育経済調査団の団長としてモンゴル・ウランバートルを訪問しモンゴル政府の暖かい歓迎を受けたことに謝意を表した後、今後のモンゴルとの教育交流促進に向けての考え方を述べた。首相も全面的に歓迎すると答えた。懇談にはジグジット駐日モンゴル大使、前田貴俊FEC企画事業部次長ら関係者が同席した。

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