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在日ベトナム大使館のグエン・ミン・ハー公使とグエン・カイン・ルォン公使参事官を招き第33回FECベトナム問題研究会を開催

ベトナム 日越文化経済委員会

2009年03月27日更新

日越文化経済委員会=日越経済問題等協議会の発足に向けて

立ってあいさつするグエン・ミン・ハー公使

立ってあいさつするグエン・ミン・ハー公使

第33回ベトナム問題研究会開催風景

第33回ベトナム問題研究会開催風景

とき

平成21年(2009)3月27日(金) 12時〜14時

ところ

ホテルオークラ東京

概要

在日ベトナム大使館のグエン・ミン・ハー公使とグエン・カイン・ルォン公使参事官を招き第33回ベトナム問題研究会を開催。

内容

テーマ

両国ビジネス交流上の諸課題と「日越経済問題協議会」の発会に向けて

内 容

FEC日越文化経済委員会(委員長・岩下誠宏(株)ADEKA名誉会長)は3月27日、在日ベトナム大使館のグエン・ミン・ハー公使とグエン・カイン・ルォン公使参事官をホテルオークラ東京に招き、第33回FECベトナム問題研究会を開催した。FECはベトナムと20年の交流実績を誇り、今年は2つの調査団(経済、教育)を派遣したほか、ハン・ベトナム共産党中央対外委員長とFEC役員との懇談会を開催した。更に訪日が予定されている、マイン党書記長、アイン公安大臣、ズン首相とFEC役員との交流の計画もあり、極めて緊密な民間外交を推進している。

今回の研究会は、1月のビン駐日ベトナム大使主催の昼食会におけるFEC役員と大使館側との意見交換を受けて開催され、両国ビジネス交流上の課題について相互理解を深め解決するための、「日越経済問題等協議会」設置につき埴岡和正FEC理事長より提案があった。FEC側は日越文化経済委員長の岩下誠宏FEC副会長・(株)ADEKA名誉会長、湯下博之日越文化経済委員長代行・元駐ベトナム大使、野村吉三郎FEC副会長・全日本空輸(株)最高顧問ら、FEC役員・会員が多数出席した。

懇談要旨

湯下博之日越文化経済委員長代行:3月の2つのFEC調査団で訪越した。ベトナムは共産主義国であるが、政治、文化面で共通点が多く感性が合う。日中関係上もベトナムとインドネシアは頼りになる重要な国だ。日本からの直接投資は昨年72億ドルへ急増した。インフラ整備と人材育成のニーズが高く、日本から学びたいと希望している。

埴岡和正FEC理事長:日越関係は良好であるが、人材育成が急務とFEC教育調査団の報告があった。新幹線建設等の国家PJにも人材が不可欠だ。本日は、近く帰国予定のルォン公使参事官の送別会を兼ねているが、ビジネス上の共通する障害を率直に協議する常設の協議会設置の提案をしたい。

ハー公使: FEC調査団が成果を挙げられ嬉しい。ズン首相の訪日や天皇・皇后両陛下の訪越、大相撲ベトナム場所などが計画されており両国関係は緊密だ。人材育成と法制度整備が重要で両国間の経済連携協定(EPA)の5月批准に期待している。首相来日時に民事・刑事協定が締結予定で賄賂問題も解消されよう。

ルォン公使参事官:10年近い任期中、FECに大変お世話になり御礼申し上げる。両国の戦略パートナーシップの中身を具体化し、経済・政治・安全保障に生かされることを期待する。

岩下誠宏FEC副会長・日越文化経済委員長・(株)ADEKA名誉会長:FEC調査団訪越に対する大使館の協力に感謝する。電事連、船主協、JR東日本が参加し、副首相、人民委員会委員長、書記長らと有意義な面談を行なった。原発計画ではフランスが先行している。工業化発展計画の実行力が懸念されている。日本の中小企業育成策も参考になろう。

埴岡和正FEC理事長:3年前のズン首相来日時にFEC日越文化経済委員会が発足した。その際、ズン首相に対し日本の原発で電力不足解消に協力したいと申し上げた。当面の国家PJは高速鉄道、都市交通、港湾整備、ハイテクパークであるが進展は遅い。提案した協議会で率直な意思疎通をしたい。日本のメディアも呼び世論喚起を促したい。ベトナムの原発も日本の協力で建設したい。

ハー公使:原発計画に対し当大使館も「是非日の丸で」と訴えてきた。首相が決定するので書記長来日時に確認できよう。バイク渋滞の不満は大きい。世界の最高級車がベトナムに15台ある。インフラ整備と政府規制が変更されれば自動車販売も増加しよう。南北高速道路計画のベトナム請負企業は決定済。高速鉄道計画にはJR西日本が協力している。

ルォン公使参事官:産業政策の中身の具体的提案が欲しい。原発計画では、日本から安全性の強みを強調した提案が有効だ。協議会設置について、現場の具体的問題を率直に話せる場として賛成だ。

湯下博之日越文化経済委員長代行:調査団に対して、国際水準の大学設立への協力要望が出された。日本の政府開発援助はソ連とは異なり、資料を提出してもらい日本が選定する流れだ。ベトナム向けODA再開時にはベトナム政府の人の養成から始めた。

ハー公使:日本企業は原発計画に本気か。国際原子力機関の核不拡散規則に固執している日本政府は原子力協定を結べるのか。

水沼正剛電源開発(株)常務執行役員:フランスと日本の原発事情は異なる。核不拡散保障措置に核兵器先行5カ国は自由に対応できるが、日本は自由対応できない。事業者も仏は発電1社と機器1社。日本は発電11社、機器3社。チェルノブイリ原発事故後も日本の開発と運転は続行した。原発の裾野は広く電力会社だけでは無理。日本の行政には安全委員会があり、大学に専門学科も設置された。日本の40年間の経験を示しフランスより優位に立てるのではないか。

田丸 周(株)リケン常勤監査役:EPAを締結する前に産業政策を固めていないのには驚いた。

ルォン公使参事官:EPAは関税削減が中心で産業育成につながるか疑問。20年後の主力工業製品が自動車なのかITなのか不明。裾野産業も足りない。両国の戦略パートナー関係は中身がなく人的協力の表現も曖昧だ。対越ビザ審査も日本が一番厳しい。夢(道路、鉄道、ハイテクパーク)の具体策の助言が欲しい。

埴岡和正FEC理事長:兄貴分が弟にもっと言って欲しいということであろう。産業開発と人材育成を車の両輪として進める必要があるが、ベトナム要人も理解不足ではないか。

湯下博之日越文化経済委員長代行:個別政策があっても総合戦略がない。裾野産業育成も始まったばかりだ。歩きながら策定するしかない。ベトナム人は聞く耳を持っていることが中国と違う。強く要望するとルールも変更される。

打越俊一(株)大和総研常務執行役員:ベトナムの自立化には、産業政策の前に財政・金融政策の確立が必要。人材育成協力の提案を行いたい。

ルォン公使参事官:提案を歓迎する。日本でのベトナム進出希望企業に対する支援も期待する。

山田洋暉(株)クラレ監査役:外国人投資家は国営の基幹産業に関心が高い。民営化すれば資金調達も徐々に容易になろう。

ハー公使:ベトナム人は独立を勝ち取ることで精一杯だった。近隣国に対する競争心は旺盛だが指導部は学力不足。若い世代の能力とスピードに期待している。

岩下誠宏FEC副会長・(株)ADEKA名誉会長:日本は経済発展に30年かかり、中国の裾野産業育成も15年の歴史がある。ベトナムも一時的減速あろうが2020年には相当な国力となろう。裾野産業の実態はどうか。

ハー公使:国内裾野産業が未熟なため、「加工するだけで外国から給料を貰っている」との批判が強い。助言が欲しい。

埴岡FEC理事長:協議会設置の件はビン駐日大使にも説明し近く発足させたい。ルォン公使参事官にはFECのハノイ支局長のつもりになって、今後も両国関係の発展にご尽力いただきたい。

(田丸 周FEC常任参与・(株)リケン常勤監査役・記)

出席者

 

[在日ベトナム大使館]

グエン・ミン・ハー 駐日ベトナム公使

グエン・カイン・ルォン 在日ベトナム大使館公使参事官

[FEC役員・会員等]

岩下誠宏 FEC日越文化経済委員長、(株)ADEKA名誉会長  湯下博之 FEC日越文化経済委員長代行、元駐ベトナム大使

野村吉三郎 FEC副会長、全日本空輸(株)最高顧問  岡崎真雄 FEC副会長、ニッセイ同和損害保険(株)名誉会長

木村一義 FEC副会長、日興コーディアル証券(株)代表取締役会長  新町敏行 FEC理事、(株)日本航空常任顧問・前会長

山田洋暉 FEC理事、(株)クラレ監査役  本間克巳 本間獣医科医院院長、(株)ジーアンドエイチ代表取締役

星屋秀幸 (株)森ビル特別顧問  山辺厚三 阪和興業(株)理事

水沼正剛 電源開発(株)常務執行役員  打越俊一 (株)大和総研常務執行役員

田丸 周 FEC参与、(株)リケン常勤監査役  片柳眞一郎 アステラス製薬(株)執行役員経営企画部長

瀬下 猛 双日(株)秘書部渉外担当課長  小島和則 (株)アマダ海外事業部門グループリーダー

南條誠二 鴻池運輸(株)国際物流関東支店複合輸送一課課長

[主催者]

埴岡和正 民間外交推進協会(FEC)理事長

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