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第5回FEC日越経済問題等協議会を開催=FEC日越文化経済委員会

ベトナム 日越文化経済委員会

2011年09月08日更新

日本企業向け工業団地に裾野産業を誘致したい

挨拶を行うダン・フィー・ドン計画投資省副大臣

挨拶を行うダン・フィー・ドン計画投資省副大臣

第5回FEC日越経済問題等協議会の開催風景

第5回FEC日越経済問題等協議会の開催風景

とき

平成23年(2011)9月6日(火)10時〜12時

ところ

在日ベトナム社会主義共和国大使館

内容

民間外交推進協会(FEC)は9月6日、在日ベトナム大使館との共催による第5回日越経済問題等協議会(略称:日越経協)を在日ベトナム大使館で開催した。FECはベトナムと22年の交流実績を誇り、調査団派遣や訪日要人とFEC役員との懇談会を数多く開催しており、極めて緊密な民間外交を推進している。本年5月にはフック計画投資大臣を招き第4回日越経協を開催し、6月にはサン共産党書記局常務(7月に国家主席に就任)との歓迎朝食会を開催、関係が強化している。昨年2月に発足した日越経協は、ビジネス交流上の障害、課題について相互理解を深めるための場で、今回は第三次ズン内閣下のダン・フィー・ドン計画投資省副大臣一行の来日に併せて、「ベトナムの裾野産業育成」をテーマに開催された。ベトナム側はビン駐日ベトナム大使、ノイ外国投資局副長官、ヒエップ・ハイフォン市人民委員会副委員長ら46名が出席し、日本側は岡崎真雄あいおいニッセイ同和損害保険(株)特別顧問、松本謙一サクラグローバルホールディング(株)代表取締役会長、森元峯夫(株)エスイー代表取締役社長、米澤泰治米澤化学(株)代表取締役社長らのFEC役員の他、各界各層の関係者が多数参加し、総勢130名の協議会となった。

協議会では冒頭に、ビン駐日ベトナム大使、松澤建FEC理事長、ドン計画投資省副大臣がそれぞれ開会挨拶を行った後、ノイ外国投資局副長官とビン商工省裾野産業育成センター長が、裾野産業の状況と育成政策、投資奨励6分野(機械製造、電子情報、自動車組立、縫製、皮革、先端技術)と投資奨励地域、投資優遇策などについて報告した。続いてチェン・バクニン省人民委員会委員長、ヒエップ・ハイフォン市人民委員会副委員長よりそれぞれの地域の投資環境と進出メリットが説明された。質疑応答では、労働事情、部品加工企業への優遇措置などの質問、要望に対して、ドン副大臣が率直に見解を述べた。

協議会概要

<開会挨拶:グエン・フー・ビン駐日ベトナム大使>

日越経協は昨年3回、今年2回開催され、誠に喜ばしい。3月の大震災にお見舞い申し上げるとともに日本の早期復興を確信している。経済・文化など様々な分野で日越関係が発展しており、本日の協議会にも多くの参加者が集まった。日本はベトナムの最大のパートナー。ベトナムの各地で日本の経済協力に高い関心を寄せており、今次訪日団には政府機関、地方機関、企業の代表者が多数参加した。本日の彼らの報告に期待したい。

<開会挨拶:松澤建FEC理事長>

大震災に対する物心両面の支援に感謝申し上げる。これを忘れることなく日越協力のシンボルとしたい。昨年に続きドン副大臣一行をお迎えしての第5回日越経協開催は大変光栄であり、御礼申し上げる。基幹産業はもとより、裾野産業に注目が集まっている昨今、本日は今後の日越関係発展に意義のある「ベトナムの裾野産業」をテーマに報告と意見交換を行う。参加者とベトナム側との率直な意見交換により一層の交流発展に努めたい。本協会はビン大使を始め歴代駐日大使のご理解とご尽力を頂き、両国間の経済・文化交流事業の発展に取り組んでいる。11月12日からはベトナムにFEC経済事情等調査団を派遣し、本日の協議内容を具現化し、相互の信頼関係を深めたい。

<挨拶:ダン・フィー・ドン計画投資省副大臣>

大震災後の復旧状況や福島の生産活動の回復を報道で知り嬉しい。本日は裾野産業育成がテーマ。「ドイ・モイ」政策が実行されて20年間、平均7%の高成長を維持している。2009年のGDP成長率は5.3%、2010年は6.7%。2011年はマクロ経済の安定化、貿易のバランス維持、インフレ対策を目標に、年初6ヶ月の成長率は5.6%で、2011年の予想は6%。毎年数十億ドルの貿易赤字が問題。裾野産業が未成熟なため部品・完成品の輸入増加が慢性的赤字の主因だ。マクロ経済が不安定化した11年初7ヶ月のベトナム向け外国投資も63億ドルと増加が持続。日本のこれまでの累積投資は1560件、総額216億ドルで第4位。

日本は1950年代に裾野産業を育成した。工業化政策の中で裾野産業育成は最重要施策だ。日本の裾野産業には技術・ノウハウ・資金をもつ中小企業が多い。ベトナムの豊富な人材、資源、土地を活用し日本の協力で裾野産業を発展させたい。キャノン、京セラミタの大規模生産に加え、世界1,2位の携帯電話メーカーの進出により大きな部品需要が期待される。部品の国内調達率は20%と低く、裾野産業への投資機会は大きい。日本は戦略的パートナーゆえ優遇措置により投資誘致を促す。ベトナム北部ハイフォンや南部に日本の中小企業のための工業団地を建設し、生活インフラを整備し税制優遇措置を設け、従業員採用支援を行う。日本語ウェブサイトも開設し投資情報入手に便宜を図っている。 日越友好36年を経て、両国交流は豊かに発展した。2006年の戦略パートナーシップの合意書実現のために皆様のご協力をお願いしたい。

<総括・閉会挨拶:湯下博之FEC専務理事・元駐ベトナム大使>

ドン副大臣の参加により参加者との活発な意見交換が行われ、感謝する。裾野産業の概念、育成策、日本側の要望など日越双方で理解が進んだ。特に日本企業向けの4つの工業団地計画は具体的投資誘致策として評価できる。意見交換を続け共に歩むことが必要。今後も本協議会を通じて日本側の意見を積極的に提示し、日本からの裾野産業の一層の進出が現実化することを期待したい。

(田丸周FEC常任参与・油研工業(株)常勤監査役・記)

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