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野口旭専修大学経済学部教授を招き第10回FEC米国問題研究会=「米国金融危機と日本経済」・FEC日米文化経済委員会

アメリカ合衆国 日米文化経済委員会

2008年04月24日更新

米国よりも深刻な日本経済の今後は? 最も危険なのは日本の「再デフレ」シナリオか!

第10回米国問題研究会の開催風景に際してあいさつする埴岡FEC副理事長と野口講師(左)

第10回米国問題研究会の開催風景に際してあいさつする埴岡FEC副理事長と野口講師(左)

とき

平成20年(2008)4月24日(木)  12時〜14時

ところ

ホテルオークラ東京・本館

概要

野口旭専修大学経済学部教授を招き第10回FEC米国問題研究会を開催

内容

テーマ

「米国金融危機と今後の日本経済」をテーマに米国、世界そして日本の各経済情勢の現状と見通しについて講師の分析や考え方を含めて話を聞き率直な意見を交換する場とした

内 容

開会に際して埴岡副理事長が「相手のいやがることも率直に意見を述べ合うのが、正しい交流であり、それでこそ互いの理解が深まる。民間外交の利点はその点にある」と最近の日本外交の現状を踏えて主催者あいさつを行ない、今次研究会のテーマとマクロ経済の第一人者として野口教授を紹介した。続いて野口教授は、米国サブプライム危機に関する諸論点として米国の証券化商品はリスクの移転とその評価が正しく行われていなかったことが問題であり、グリーンスパン前FRB議長の金融政策は失敗ではなかったし、バーナンキ議長の金利引き下げは有効であるなどについて自身の考え方を述べ、米国経済のマクロ的状況と金融政策を成長率、インフレ率、短期市場金利の推移の図表にもとづいて説明し現在の米国政策とFRBの金融政策は有効であると述べ、当面は厳しい状況は続くが日本のバブル崩壊時のような10年も不況が続くことはなく、長くても1〜2年でありタイムラグはあるが好転すると強調した。その中で中央銀行はその金融政策を資産市場バブルを破裂させるためではなく、あくまでもインフレ対策のみに限ると強調した。この点が日本のバブルと米国の今回の金融危機での日米金融当局の対策の根本的な違いがある。デカップリングといわれる米国は厳しいが中国、中東、ロシア経済が元気であれば世界経済は悪化しないということはあり得ない。

それよりも深刻なのは日本で、政治の混乱もあり、再デフレのシナリオに進むことが非常に懸念される米国もITバブル崩壊後にデフレの心配も一時期はあったがFRBの金融政策によって乗り切った。

講演後、FEC役員の稲森俊介味の素(株)特別顧問、田中宏(株)クレハ会長、福澤文士郎東亜合成(株)取締役相談役、三好孝彦(株)日本製紙グループ会長、渡邊五郎森ビル(株)特別顧問、ミニエドレスナ・クラインオート証券会社駐日代表、宮脇宗嗣理事、米澤泰治米澤化学(株)社長らFEC会員の企業役員が講師との間で熱の込もった議論を閉会の定刻のギリギリまで展開した。

野口 旭(のぐち あさひ)講師

専修大学経済学部教授

1958年、北海道に生まれる。東京大学大学院経済学研究科博士課程終了。専修大学講師、助教授を経て、1997年より現職。専門はマクロ経済、経済政策、国際貿易、国際金融。経済理論史にも関心を持つ。
1982年 東京大学経済学部卒業

1988年 東京大学大学院経済学研究科博士課程終了

同年 専修大学経済学部講師(国際経済論担当)

1991年 同大学助教授

1997年 同大学教授(現在に至る)

2003年4月〜2004年3月 イェール大学客員研究員

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