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第7回FEC日露経済問題等協議会(略称・日露経協)を在日ロシア連邦大使館で開催。開催後はレセプションも盛会で催す

ロシア 日露文化経済委員会

2008年11月17日更新

FEC日露文化経済委員会(委員長・内藤明人リンナイ(株)会長)主催により開会。あらゆる課題を本音で率直に相互に意見を交換する

とき

平成20年(2008)11月17日(月) 15時〜17時(会議) 17時〜18時(レセプション)

ところ

在日ロシア連邦大使館・会議室、レセプションホール

概要

第7回FEC日露経済問題等協議会(略称・日露経協)を在日ロシア連邦大使館で開催

内容

FEC日露文化経済委員会(委員長・内藤明人リンナイ(株)取締役会長)は11月17日、在日ロシア大使館との共催による第7回日露経済問題等協議会(略称:日露経協)を在日ロシア連邦大使館で開催した。大使館からは、オヴェチコ公使、スハノフ参事官(政務)、ヤーセネフ参事官(広報)の3名が出席。FECは副会長の田中宏(株)クレハ取締役会長、瀬在幸安日本大学元総長、日露文化経済委員の利島康司(株)安川電機取締役社長、森敏光元駐カザフスタン大使、小林和男作新学院大学特任教授ら、FEC役員・会員が多数出席した。FECは3度の調査団派遣を含め新生ロシアと18年の交流実績を誇っているが、両国間の交流促進の方策を協議する場として、2006年12月に在日ロシア大使館と本協議会を設置し、過去6回開催された。日本側が抱えるビジネス交流上の障害、課題について、ロシア大使館側と本音の意見交換を毎回行っており、相互の理解不足を浮き彫りにし、問題解決に向けての具体的提案などが率直に述べられ、双方の出席者から好評を得ている。先般来日しFEC主催の講演会及びFEC役員との懇談会に出席したラブロフ外相からも、こうしたFECの日露交流活動に謝意が述べられた。今回も前回5月の第6回会議での協議内容を踏まえ活発な議論が交された。

開会に際して埴岡和正理事長が、「盛会だったラブロフ外相の講演会は各国大使からも好評で、皆様の協力に厚く御礼申し上げる。今回は在日ロシア大使館の幹部交代後初の日露経協。オヴェチコ新公使就任をお祝いする。オヴェチコ公使は誠実な人柄で一層のご活躍を期待する。ロシアも金融危機から株安、ルーブル安と苦境だが相対的に影響は軽微か。前回に続き率直な意見交換をしたい」と主催者挨拶。新日露文化経済委員の利島康司(株)安川電機取締役社長を紹介の後、オヴェチコ公使から「ガルージン公使の後任として、円満に仕事をする所存。第7回日露経協も有益な意見交換の場としたい」と挨拶があり、懇談に入った。

懇談要旨

馬締阪和興業取締役:来年1月の丸太輸出税の引上げ(25%→80%)延期の信憑性は。また、ロシアの水産物輸入代金支払いが滞っている。輸入業者は支払可能であるがロシアの銀行が外貨支払を制限している。

オヴェチコ公使:国内産業保護目的の丸太輸出税の段階的引上げ計画は、金融危機対策への協力から1年延期された。食品安全重視の面から、来年のロシア向け水産食品の輸出は困難となりそうだ。

森元駐カザフスタン大使:ルーブル安対策として、プーチン首相が銀行の外貨保有抑制を指導しているからではないか。

オヴェチコ公使:ロシアの外貨準備の45%はユーロ資産。ユーロ安から目減りが激しい。

小林作新学院大学特任教授:金融サミットでロシアは狙いどおり動けたのか。ADB未加盟で世銀・IMFでの発言力をもてるのか。

オヴェチコ公使:国際連携で最大の成果があったのではないか。新興国の存在感が認知された効果もある。国際通貨制度の再構築は尚課題だ。中国はIMF出資増加で役割が高まろう。ADBへは2%程度の出資希望を表明しているが、大株主の日本財務省が勢力均衡の崩れを懸念、まだ実現していない。

森元駐カザフスタン大使:ロシア進出企業によると、提携先から資金難、販売低迷を理由に契約破棄される話が多いそうだ。銀行間でもドル、ルーブル共に調達難で日系企業の資金調達にも支障が出ている。ロシア、ルーブルの信認回復が必要。ドルの一極集中は是正すべきだが、「モスクワを金融センターに」など現実離れの主張をすると一層不安定となる。露米首脳の建設的対話を期待する。

宮脇FEC理事:通貨の信認は政府まではなく民間取引で決まる。ロシアも国際市場で信用できる国になる努力が必要。

オヴェチコ公使:ロシアには豊富な外準があり、モスクワが金融センターになる可能性はある。またADBに加盟できればアジア太平洋地域への資金協力も増大する。

中川原三井物産戦略研究所ロシア・CISビジネスセンター長:原油価格が50ドルを切っており、ソチ五輪やウラジオストック開発等の国家PJの縮小が懸念されるが。

オヴェチコ公使:09年央までの計画に変更はない。

田丸リケン常勤監査役:9月のバイカル経済フォーラム、10月の極東経済フォーラムの成果はあったのか。

佐々木産経新聞社外信部記者:10月の会議に参加した。サハリンから日本へのトンネル計画、食の安全重視から日本食品への熱い眼差しなど、極東・日本への期待を感じた。

中川原三井物産戦略研究所ロシア・CISビジネスセンター長:10月会議に出席したが、ほぼ同時に日本でも同様の会議が開催され、分断された奇異な印象を受けた。中央政府の声がかりにも拘らずロシア側の腰が入っていないのではないか。極東=ハバロフスクという感じで、沿海州知事等は出番がなかった。外資主導の時代は終わり、ロシア人主導のPJとなろう。地域行事としては成功した。日露両国とも真剣に取り組む必要があろう。

埴岡理事長:プーチン首相は2010年ウラジオストックAPEC会議担当など極東開発の総責任者にシュワノフ第一副首相を任命、極東重視の姿勢だが、フォーラムには出席していない。シュワノフ第一副首相は金融危機対策担当の重責もあるが、「来日機会があれば極東開発の講演を」とFECから在日大使館を経て文書で依頼している。

森元駐カザフスタン大使:日本の会議に出席したが地域発展省の真面目さは感じられなかった。中央政府の極東への関心は薄い。

オヴェチコ公使:極東開発の目的、狙いで両国間にズレがある。ロシアの目的はハバロフスク、ウラジオストック開発にあるが、日本は資源開発権を狙っている。

瀬在日本大学元総長:シベリア鉄道は有望ではないか。

オヴェチコ公使:シベリア鉄道の近代化は両国政府間で合意しており、商社や国交省と協力して推進させたい。

小林作新学院大学特任教授:医療分野はどうか。

オヴェチコ公使:既に実施中の医療交流のほか製薬会社間での人事交流等協力分野は大きい。

埴岡理事長:ガスプロムの関連会社に国内4ヵ所で病院建設計画があり、ファイナンスと経営を日本から入れたいと希望している。

馬締阪和興業取締役:英国の保険会社はウクライナ、ベラルーシュ、アイスランド、パキスタンとロシアを保険対象外としている。

森元駐カザフスタン大使:外準が4.8千億ドル、安定化基金が2千億ドルあるが、ルーブル買い支えで外準が減っている分もある。予算の前提の原油価格が82ドル、均衡予算水準が70ドル。50ドル台では財政赤字となる。

オヴェチコ公使:ロシアの成長率予測は、08年が7.2%、09年は5.1%(政府)乃至3.5%(IMF)。

田中クレハ取締役会長:ロシアのバレーなどは世界の一流であり、日露間の芸術、文化交流が足りないと思うので予算配分の増加を期待したい。

オヴェチコ公使:同感だが、財源の制約あり多くのスポンサーが必要だ。

米澤米澤化学代表取締役社長:ロシアにはもっと頑張って欲しい。北方四島返還したら日本人のロシア人気が一気に高まろう。

オヴェチコ公使:一人当たりGDPは1万ドル近くでロシア人はよく働いていると認識されよう。四島問題の解決には平和条約の締結が必要と思う。

田丸リケン常勤監査役:本音が語られなかった金融サミットには失望した。世界の金融危機を救うには国際通貨制度改革ではない。米国の不良債権処理の行方が不透明であり、世界の株価、商品市況が続落している。最終的に中国、日本、ロシアの世界三大ドル債権国が、米国の赤字国債を直接・間接的に引受けることが必要となるかもしれない。

オヴェチコ公使:金融危機対策での米国への協調も重要と認識している。

埴岡理事長:「来年2月又は3月のプーチン首相来日時にはFECフォーラムを開催したい」と、ラブロフ外相に要請した。本日も率直な意見交換ができた。次回の日露経協は当方が幹事となって実施する。

この後、会場を隣室に移しレセプションが開かれた。オヴェチコ公使の乾杯の音頭で、引き続き談論風発の場となり両国出席者の交流、親睦がより一層深まった。

出席者からは「多くの日露関係団体主催の各種会議に出席しているが、これだけ明確にあらゆる問題を本音で語れる場は他にはない。ロシア大使館も真剣に答えてくれていることが実感できた。ぜひこれからも継続してあらゆる両国間の課題解決への一助を担う場として欲しい」との感想、意見がFEC事務局に寄せられた。

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