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内藤明人団長の下の第17次FEC欧州経済事情等調査団が多大の成果を挙げて帰国する

ブルガリアポーランドウクライナ 日欧文化経済委員会

2009年09月27日更新

ブルガリア、ポーランド、ウクライナで大統領、首相ら政府要人と会談。「FEC経済調査団の訪問は両国の電力、医療、教育交流の深化に寄与、高く評価する」と熱く歓迎される。

パルヴァノフ大統領を表敬(ソフィア)

パルヴァノフ大統領を表敬(ソフィア)

ティモシェンコ首相との会談(キエフ)

ティモシェンコ首相との会談(キエフ)

第17次FEC欧州経済事情等調査団一行

第17次FEC欧州経済事情等調査団一行

とき

平成21年(2009)9月27日(日)〜10月4日(日) 8日間

ところ

ブルガリア(ソフィア)、ポーランド(ワルシャワ)、ウクライナ(キエフ)

概要

内藤明人団長の下の第17次FEC欧州経済事情等調査団が帰国

内容

目 的

世界経済情勢が厳しい中にあって、両国と日本との協力のあり方について要人との意見交換及びインフラなどの調査。

概 要

 

FEC日欧文化経済委員会(委員長・藤田弘道凸版印刷(株)会長)は、内藤明人FEC副会長(リンナイ(株)取締役会長)を団長とする第17次FEC欧州経済事情等調査団を9月27日〜10月4日、ブルガリア、ポーランド、ウクライナへ派遣した。ブルガリア、ポーランドへは昨年に続く訪問、ウクライナへは初訪問となった。世界的経済危機の収束は未だ見えない中での訪問であったが、一行20名は3か国で公賓待遇の歓迎を受け、大統領、首相、主要閣僚等の政府要人や経済人との面談を実施した。特にウクライナでは注目度が高く、ティモシェンコ首相に4人の閣僚と各省次官が同席し、長時間に及ぶ密度の濃いハイレベルの会談となった。

調査団は、内藤団長以下、顧問に久米邦貞FEC日欧文化経済委員会委員長代行・元駐ドイツ大使、副団長に松本謙一サクラグローバルホールディング(株)代表取締役会長、遠藤良治信越化学工業(株)顧問の他、化学、保険、印刷、医療、大学、電力、食品、航空、金融、電機等の法人会員各社の関係者により編成された。

ブルガリアは2007年にEUに加盟したが、資金管理の不正からインフラ整備等のEU基金の利用が一部凍結されており、EU加盟効果が不十分だ。7月に成立したボリソフ新内閣は司法制度改革や汚職対策を教育・医療改革と並ぶ主要課題としている。2004年にEUに加盟したポーランドは、欧州域内の生産拠点と巨大消費市場の魅力から、外国直接投資を梃子に高い経済成長を維持してきた。ユーロ導入は延期されたが、健全な金融市場と低い輸出依存から2009年はプラス成長の可能性もある。道路インフラ整備、民営化促進とエネルギー安全保障が課題。ウクライナは旧ソ連でロシアに次ぐ大国で、46百万人の人口は中東欧諸国最大。2000年以降鉄鋼部門を中心に高成長を維持していたが、金融危機の打撃は大きく、景気の急落と外貨危機に直面、IMFの金融支援を受けている。EU及びNATO加盟を将来の目標としているが、関係が深いロシアとの対立も顕現化しており、来年1月の大統領選挙が注目される。

3カ国ともエネルギー資源のロシア依存度が高く、ロシアとの友好関係維持とエネルギー安全保障(供給源・輸送手段の多様化)のバランスを模索している。また温室効果ガス削減目標に対して、再生可能エネルギーの利用拡大や、石炭火力発電の近代化、原子力発電計画も活発化しており、ビジネス・チャンスとして注目される。医療、病院分野では旧体制の老朽設備の近代化が課題となっており、ウクライナで日本の先端医療の技術協力が強く求められた。教育分野でも、高等教育水準の向上と大学教育の高度化が3カ国共通の課題で、ブルガリアでは日本、青山学院との教育・学術交流の深化が期待された。

魅力的税制(ブルガリア法人税率10%)、経済特区など投資優遇措置も整備されているが、行政面の改善課題(手続簡素化、透明性確保等)があり、EU基金を活用したインフラ整備の進捗、労働市場動向と併せて留意が必要だ。

調査団は、ソフィア、ワルシャワ、キエフで政府高官、経済団体、日本大使、進出日本企業、大学、学術団体の代表者等と面談。政治経済動向、エネルギー政策、医療・教育の現状等の説明を受けると共に、電力、金融、医療等の有望分野について、投資環境整備を要望するなど有益な意見交換を行った。

【日程】

9月27日朝、成田空港特別室で結団式を終え全日空機で空路フランクフルトへ。着後、ルフトハンザ機にてソフィアへ(ソフィア泊)。28日/午前=プロコピエフ経営者産業家連合会頭主催の朝食懇談会、イルチェフ・ソフィア大学長との会談、パルヴァノフ大統領を表敬訪問、マリノフ経済エネルギー観光次官主催の昼食懇談会、午後=ミハイロヴァ財務次官との会談、ファンダコヴァ教育相との会談、トライコフ経済エネルギー観光相との会談、竹田恒治駐ブルガリア大使主催の夕食懇談会(日本企業関係者同席)(ソフィア泊)。29日/午前=シメオノフ商工会議所会頭との会談、ライコフ外務次官(次期外相)との会談、マルコフ・ソフィア経済大学経済学部長との会談、午後=ポーランド航空にてワルシャワへ。楠本祐一駐ポーランド大使主催の夕食懇談会(ワルシャワ泊)。30日/午前=市内視察。グラド国有財産大臣、レシュキュヴィッチ次官との会談、午後=シェインフェルド経済省副大臣との会談、アラブスキ首相府次官との会談、バレイ鑑賞(ワルシャワ泊)。10月1日/午前=ボフシャシュ民間経営者連盟会長との朝食懇談会、ポーランド航空にてキエフへ。午後=ティモシェンコ首相との会談、副首相、経済相、燃料エネルギー相、財務相代行、外務次官他同席。パトン科学アカデミー総裁との会談、伊澤正駐ウクライナ大使主催の夕食懇談会(キエフ泊)。2日/午前=ゴリン外務次官との会談、セミノチェンコ・ウクライナ・フォーラム代表との会談、午後=マクーハ燃料エネルギー省次官との会談、内藤団長主催夕食懇談会(キエフ泊)。3日/午前=ヤキメンコ・キエフ工科大学第一副学長との会談、ウクライナ日本センター視察、午後=英国航空機でロンドンへ。着後、全日空機にて帰国の途へ。4日/午後=成田空港着。

【団員】

団長=内藤明人リンナイ(株)取締役会長

顧問=久米邦貞元駐独大使

副団長=松本謙一サクラグローバルホールディング(株)代表取締役会長、遠藤良治信越化学工業(株)顧問、事務局長=田丸周油研工業(株)常勤監査役・FEC常任参与

団員=▽今田潔信越化学工業(株)顧問、▽岡田伸一郎東京海上ホールディングス(株)専務取締役、▽男沢正文凸版印刷英国(株)代表取締役社長、▽本間克己(株)ジーアンドエイチ代表取締役、▽袴田茂樹青山学院大学教授、▽市原尋司中部電力(株)国際事業部長、▽伊藤裕之東京電力(株)原子力・立地本部部長、▽馬島英治味の素(株)生産統括センター部長、▽大石武志全日本空輸(株)東京支店副支店長、▽小川晃国際協力銀行欧亜中東地域外事審議役、▽浜本雅啓日立GEニュークリア・エナジー(株)国際協力室副室長、▽富本幾文国際協力機構フランス事務所長、▽大田原真美(学)青山学院常任監事、▽榊原幸彦(株)みずほコーポレート銀行産業調査部次長、▽小澤勝志リンナイ(株)総務部課長、随行員1名

ソフィアで2年連続ブルガリア大統領を表敬訪問

一行は9月28日〜29日ソフィアを訪問。28日のプロコピエフ経営者産業家連合会頭主催の朝食懇談会では、企業経営者から新政権の優先政策、投資有望業種の説明を受けた。イルチェフ・ソフィア大学長との会談では、大学の課題、教育交流等について懇談した。昨年に続いてパルヴァノフ大統領を表敬訪問。大統領はこれまでの日本の経済支援に謝意を述べ、「FEC調査団の成果として電力、医療分野での経済交流の拡大を期待する」と歓迎した。内藤団長は現地新聞の取材に対し、「原発、医療、教育における大統領の日本への強い期待に感動した。両国の産業、学術交流の発展に努力したい」と説明した。マリノフ経済エネルギー観光次官主催の昼食懇談会、トライコフ経済エネルギー観光相との会談では、夫々エネルギー政策やインフラ整備について意見交換を行った。ミハイロヴァ財務次官との会談では経済情勢、財政政策の説明を受け、ファンダコヴァ教育相との会談では教育交流、技術交流の意見交換を行った。竹田駐ブルガリア大使主催の夕食会では、進出日本企業関係者から現地事情の説明を受け懇談した。29日のシメオノフ商工会議所会頭との会談ではビジネス環境の説明があり、ライコフ外務次官との会談ではエネルギー政策の意見交換を行った。マルコフ・ソフィア経済大学経済学部長との会談では教育事情の説明があった。

ワルシャワで民営化、電力プロジェクトについて活発な意見交換

調査団は29日にワルシャワへ入り、楠本駐ポーランド大使主催の夕食会では内政、経済、進出企業動向について説明を受けた。30日のグラド国有財産相及び同省次官との会談では民営化計画の説明と意見交換、シェインフェルド経済省副大臣との会談ではエネルギーPJの説明があった。アラブスキ首相府次官との会談では、日本人の勤勉さと研究開発力への期待が述べられ、エネルギー分野への日本の協力が要請された。調査団からは長期電力購入制度が要望された。10月1日のボフシャシュ民間経営者連盟会長との朝食会では不況対策、労働コスト、観光振興等の説明を受け、意見交換を行った。

キエフでティモシェンコ・ウクライナ首相は、エネルギー・医療の近代化へ協力を強く要請

1日からのキエフでは、ティモシェンコ首相との会談に、副首相、経済相、燃料エネルギー相、財務相代行の閣僚と各省次官が同席し、長時間に及ぶ密度の濃い大会議となった。首相は3月訪日時のFECとの交流に謝意を述べ、「金融危機後は強国になる。エネルギー・医療分野の近代化が重要」と日本への協力を強く要望。パトン科学アカデミー総裁との会談では、先端医療機器導入について意見交換を行った。伊澤正駐ウクライナ大使主催の夕食懇談会では、内政、外交、経済情勢の説明を受けた。2日のゴリン外務次官との会談では、外交政策の意見交換を行い、セミノチェンコ・ウクライナ・フォーラム代表との会談では政治、外交について説明があった。マクーハ燃料エネルギー省次官との会談では、原発、火力発電計画の意見交換を行い、その後、内藤団長主催夕食懇談会で団員は親睦を深めた。3日はキエフ工科大学を訪問、キャンパス視察の後ヤキメンコ第一副学長と大学交流等の意見交換を行った。続いて構内のウクライナ日本センターを視察、生け花と日本語授業を参観した。

(田丸周事務局長・油研工業(株)常勤監査役・FEC常任参与・記)

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